ノミ・ダニ
予防
ノミ、ダニ(マダニ)は、哺乳動物の血液を吸って栄養分としていますが、病気を媒介することも知られています。
ノミは犬にもネコにも寄生します。皮膚の上に住み着き、給血して産卵します。卵からふ化した幼虫は、サナギを介して成虫になります。ノミは被毛をかき分けたときに、黒いごま粒のようなものが素早く移動していく姿を見て気づくことがあります。時にはびょ~んと高く飛んでどこかへ行ってしまいます。ノミを捕まえてもツメの先でつぶさないようにしましょう。卵を持っているメスノミの場合は、卵が散って新たな感染源となります。
動かないごま粒のようなものはノミの糞の可能性があります。濡らしたティッシュの上に黒い小さな粒をのせてみると、ノミの糞なら、時間がたてば濡れたティッシュに赤黒い色がつきます。ノミは吸血して生きているので、その糞もまた血液でできています。
マダニはノミに比べて、素早く動くことはありません。犬やネコの頭、耳、目の回り、足先などに小豆大に膨れたイボのように付着しています。これら哺乳動物に吸血するマダニは、ハウスダストのようなホコリの中に住む小さなダニとは異なります。マダニの体は吸血前は平たく、よく見ると小さな脚がたくさんついていますが、おなかいっぱい吸血すると小豆のようにふくらみます。がっちりと皮膚に食らいついているのでなかなか取ることができません。無理に取り除こうとすると、ダニの頭と胴体がちぎれて、頭のみが皮膚にくっついたまま残ってしまうので、とれないときは動物病院で取ってもらいましょう。
このあたりでは、昔から六甲ダニは怖いといわれていたように、ダニから犬にバベシアという赤血球の中に住む小さな寄生原虫を媒介することが知られており、特に山間部ではダニ予防は必要です。バベシアは赤血球内で増殖して、次々赤血球を破壊していくため、発熱、貧血、黄疸、黄色い尿が特徴的です。発見治療が遅れると命に関わります。また治療薬には副作用のリスクもあるので、かかったら治療と軽く考えずにダニ寄生を予防しましょう。最近では六甲山系から降りてくるイノシシにもダニやシラミが寄生して公園などに落としていくので、町中でもダニを気にする飼い主は多くなりました。また、マダニは人にもウイルス性の病気を媒介することが知られています。最近ではSFTS重症熱誠血小板減少症をおこすウイルスがダニを介して犬猫などの哺乳動物、人にも感染し、人でも死亡例があるなど注意が必要です。詳しくは厚労省のホームページをご覧ください重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について (mhlw.go.jp) マダニの多い山やキャンプなどには、犬にダニ予防をしていくことはもちろんのこと、人も長袖長ズボンなど肌の露出をできるだけ控え、マダニとの接触を防ぐことが重要です。
ノミやダニは人には居着いて寄生することがありませんが、一時的に吸血することはあります。またネコのノミ予防は、ネコひっかき病を予防することにもなります。
1. 内服薬
当院では月1回のチュアブルタイプ(ネクスガード、シンパリカ、クレデリオなどのおいしいフレーバー錠)、3ヶ月に1回のチュアブルタイプ(ブラベクト)を取り扱っています。スポット剤で被毛がべたつくのが気になる場合、被毛が密でうまくスポット剤がつけられない場合、シャンプーや水浴が多い場合、皮膚疾患がある場合などは内服も選択できます。
残念ながらネコには今のところ内服のノミダニ予防薬はありません。
フィラリアも同時に予防する場合、ネクスガード スペクトラ、クレデリオプラスがあります。
2.外用スポット剤
ノミダニのみの予防薬(フロントラインプラス)とフィラリアとノミを1剤で予防できるレボリューションがあります。どちらも月1回投薬で、犬猫共に使えます。